建設業のデジタル化、何から始める?今すぐできる自社診断チェックリスト20項目

「デジタル化が必要」と言われても、具体的に何から手をつけていいか分からない――。
そんな中小建設業の経営者の方も多いのではないでしょうか。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

正直、何ができてて、何ができてないのかも、
よく分かってないんですよね……。

仙人
仙人

それが普通じゃ。
だからこそ、まずは”現状を知る”ことが大事なんじゃよ。

本記事では、これからの建設業に求められる5つの要件と、自社の現状を客観的に把握できる20項目のチェックリストをご用意しました。
チェック結果に応じた対応の優先順位や、具体的な解決策も合わせてご紹介します。
まずは「今、自社がどの位置にいるのか」を知ることから始めましょう。

 

ここがポイント!

これからの建設業に求められる5つの要件

まずは、これからの建設業で「できて当たり前」になりつつある5つの要件を確認しましょう。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

“当たり前”って言われても……
正直、全部できてる自信はないです。

仙人
仙人

それでいいんじゃ。
まずは“何が求められているか”を知ることが大事。
できてないことを責める必要はない。

以下の5つの要件が、これからの建設業における「基準」となっています。

要件1:見積の透明性確保

見積書に法定福利費を明示し、材料費と労務費の内訳を明確にすることが求められています。

「工事費一式」といった曖昧な表記では、取引先からの信頼を得にくくなっています。

なぜ必要?発注者は「この金額は適正なのか」「ちゃんと労務費を確保しているのか」を知りたがっています。曖昧な見積では不安を与え、信頼を失うリスクがあります。

要件2:適正な原価管理

工事ごとの収支をリアルタイムで把握し、赤字工事を未然に防ぐ体制が必要です。

「どんぶり勘定」から脱却し、データに基づいた経営判断が求められています。

なぜ必要?資材価格が高騰する今、見積時と実際の仕入時で金額が大きく変わることも珍しくありません。原価を把握できていないと、気づかないうちに赤字工事を受注してしまいます。

要件3:業務のデジタル化

見積から請求までのデータを一元管理し、二度手間・三度手間を削減することが重要です。

紙とエクセルだけでは、業務効率化に限界があります。

なぜ必要?人手不足が深刻化する中、同じデータを何度も入力する「二度手間」に時間を費やす余裕はありません。デジタル化で業務を効率化し、限られた人員で成果を出す必要があります。

要件4:データの電子保存・出力

見積書や帳票をデジタルデータとして保存・出力できる体制が必要です。

電子申請やメール送信への対応が求められています。

なぜ必要?メールでのやり取りや電子申請が当たり前になる中、「紙でしか出せません」では取引先に迷惑をかけてしまいます。デジタルデータで即座に対応できる体制が求められています。

要件5:説明責任への対応

「なぜこの金額なのか」を論理的に説明できることが、取引先との信頼関係構築に不可欠です。

根拠の明確な見積書が標準となりつつあります。

なぜ必要?「感覚」や「経験」だけでは、取引先を納得させられない時代です。特に公共工事や大手企業の案件では、根拠のある説明ができなければ、審査の段階で除外されることもあります。
若葉ちゃん
若葉ちゃん

この5つ全部……できてないとマズイですか?

仙人
仙人

“全部完璧”である必要はない。
じゃが、この5つのうち、いくつできているかで、
今の自社の立ち位置が見えてくるんじゃ。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

じゃあ、次のチェックリストで確認してみます!

仙人
仙人

うむ。
自分の会社が”どこまでできているか”を知ることが、
改善の第一歩じゃよ。

 

自社診断チェックリスト(20項目)

5つの要件を踏まえて、自社が「どこまでできているか」を確認しましょう。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

チェックって、何個くらいできてれば合格なんですか?

仙人
仙人

“合格・不合格”ではないんじゃ。
大事なのは、”今の自分を知る”こと。
そこから、何をすべきかが見えてくる。

以下の20項目のチェックリストで、自社の現状を確認してみましょう。

できていない項目があっても大丈夫。これから改善すべきポイントです。

チェックリストは、以下の4つのカテゴリに分かれています。

  • 【A】見積の透明性(5項目)
  • 【B】原価管理(5項目)
  • 【C】業務効率化(5項目)
  • 【D】デジタル対応(5項目)
【A】見積の透明性(5項目)

□ 見積書に法定福利費を別枠で明示している
  → 今の見積書を見て、法定福利費が別枠で書かれているか確認してみましょう
  → 発注者からの信頼につながり、審査でも有利になります
□ 材料費と労務費を分けた「材工別単価」で提示できる
  → 見積書で材料費と労務費が分かれて表示されているか確認してみましょう
  → 労務費の適正確保を証明でき、透明性の高い見積として評価されます
□ 歩掛(ぶかり)を使って労務費を適正に計算している
  → 労務費を「なんとなく」ではなく、歩掛で計算しているか確認してみましょう
  → 根拠のある労務費算出ができ、説明責任を果たせます
□ 誰が作成しても同じ単価・同じ見積金額になる仕組みがある
  → ベテランと新人で見積金額にバラつきが出ていないか確認してみましょう
  → 組織としての価格戦略が徹底でき、品質の安定につながります
□ 見積の内訳(代価表など)を顧客に説明できる
  → 「なぜこの金額なのか」を根拠を持って説明できるか確認してみましょう
  → 取引先との信頼関係が深まり、リピート受注につながります

【B】原価管理(5項目)

□ 工事ごとの材料費、労務費、外注費、経費を把握している
  → 各工事で何にいくら使ったか、明確に把握できているか確認してみましょう
  → 正確な原価把握が利益確保の第一歩です
□ 工事進行中に、現時点での利益状況を確認できる
  → 工事が終わる前に、今どれくらい利益が出そうか分かるか確認してみましょう
  → リアルタイムで状況を把握でき、赤字の兆候を早期発見できます
□ 見積金額と実際原価を比較する仕組みがある
  → 見積と実績を並べて比較できる帳票があるか確認してみましょう
  → 予算と実績の差異分析ができ、次の見積精度が向上します
□ 赤字工事が発生した場合、原因を特定できる
  → 赤字になったとき「なぜ赤字なのか」を分析できるか確認してみましょう
  → 原因が分かれば同じ失敗を繰り返さず、改善につなげられます
□ 複数の工事を同時進行しても、原価が混同しない
  → 複数案件を抱えても、どの工事でいくら使ったか分かるか確認してみましょう
  → 工事別の収支管理ができ、どんぶり勘定から脱却できます

【C】業務効率化(5項目)

□ 見積データを元に、受注書や注文書を簡単に作成できる
→ 見積を作った後、他の書類を一から作り直していないか確認してみましょう
→ データ連動で作業時間が大幅に削減でき、ミスも減ります
□ 同じデータを何度も転記する「二度手間」がない
→ 同じ内容を何度も違う書類に入力していないか確認してみましょう
→ 転記作業がなくなり、従業員が付加価値の高い業務に集中できます
□ 見積作成にかかる時間が、1件あたり半日以内である
→ 1つの見積を作るのに何時間かかっているか確認してみましょう
→ 作業時間の短縮で、より多くの案件に対応でき、受注機会が増えます
□ 過去の見積データを組織全体で共有・活用できている
→ 過去の見積が個人のPCに散在していないか確認してみましょう
→ ノウハウが組織の資産となり、誰でも質の高い見積が作れます
□ ベテラン社員のノウハウがシステムや資料として残っている
→ 特定の人に頼らないと分からないことがないか確認してみましょう
→ 事業承継や世代交代がスムーズに進み、属人化リスクを回避できます

【D】デジタル対応(5項目)

□ 見積書や帳票をPDF形式で出力できる
  → 見積書をメールで送る際、PDF形式で送れるか確認してみましょう
  → 取引先の要望に即座に対応でき、スムーズなやり取りが可能になります
□ 見積書や帳票をExcel(CSV)形式で出力できる
  → 取引先から「エクセルで送って」と言われたとき対応できるか確認してみましょう
  → データの柔軟な活用ができ、取引先の業務効率化にも貢献できます
□ 図面や写真などのデータを、見積と一緒に保管できている
  → 「あの工事の図面どこだっけ?」と探し回っていないか確認してみましょう
  → 関連データが一元管理され、必要なときにすぐ取り出せます
□ 紙の書類に頼らず、デジタルデータで管理できている
  → 重要な書類が紙のファイルにしかないという状態でないか確認してみましょう
  → データ検索が容易になり、保管スペースも削減できます
□ 外出先や支店からでも、必要なデータにアクセスできる
  → 会社に戻らないとデータが見られない状況でないか確認してみましょう
  → どこからでも業務ができ、働き方の柔軟性が高まります

チェックリスト、お疲れ様でした。
20項目すべてに目を通し、自社の現状と向き合うこと自体が、簡単なことではありません。

ここまでやり遂げただけでも、大きな一歩です。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

正直に✓をつけていったら、
できてないことの方が多かったです……。

仙人
仙人

それは恥ずかしいことではない。
多くの中小建設業が、同じ状況なんじゃ。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

そうなんですか……?

仙人
仙人

うむ。
じゃが、”気づいた者”と”気づかないまま進む者”では、
これから大きな差がつく。
あなたは今、”気づいた側”におるんじゃよ。

ここから先は、チェック結果に応じた「何をすべきか」をご紹介します。
自社の優先順位を見つけていきましょう。

 

チェック結果の見方と対応優先度

チェックが入った数を、カテゴリごとに数えてみましょう。
あなたの会社は、どのレベルに当てはまりますか?

若葉ちゃん
若葉ちゃん

2個以下って……かなり少ないですよね。

仙人
仙人

うむ。
このレベルだと、業界の流れから取り残されるリスクが高い。
今すぐ対策を始める必要があるんじゃ。

優先すべき対策

・見積の透明性確保(法定福利費の明示、材工別単価の導入)
・原価管理の見える化(工事別の収支把握)
・システム導入の検討開始

若葉ちゃん
若葉ちゃん

3個だと、ギリギリ及第点……って感じですか?

仙人
仙人

及第点ではあるが、
“できている部分”と”できていない部分”の差が大きい状態じゃ。
弱い部分を放置すると、そこが穴になる。

優先すべき対策

・チェックが入らなかった項目を優先的に改善
・業務フローの見直しと効率化
・デジタル化の段階的導入

若葉ちゃん
若葉ちゃん

4個なら、だいぶできてる方ですよね。

仙人
仙人

そうじゃな。
ただ、”完璧”ではない。
あと一歩で、もっと楽に、もっと正確になる状態じゃ。

優先すべき対策

・残りの1項目を補完する仕組みづくり
・システムの活用度を高める
・組織全体での運用徹底

若葉ちゃん
若葉ちゃん

全部クリアなら、完璧ってことですね!

仙人
仙人

うむ。
ただし、”今”できていても、
それを”続ける”ための仕組みが大事じゃ。
属人化せず、組織として回る体制を維持するんじゃよ。

優先すべき対策

・現在の運用を標準化・マニュアル化
・事業承継を見据えたノウハウの蓄積
・新たな業務改善のチャレンジ

チェックリストで「できていない」項目が見つかった方もいるかもしれません。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

できてないことは分かったんですけど……
これって、どうやって解決すればいいんですか?

仙人
仙人

それが次のステップじゃ。
“できてない”を”できる”に変えるには、
どんな方法があるかを知る必要がある。

チェックリストで「できていない」と分かった項目は、専用システムの導入で解決できる可能性があります。以下の対応表で、自社の課題がシステムでどう解決できるかを確認してみましょう。

課題(チェック項目)システムでの解決策(機能・帳票)
見積書に法定福利費を明示したい法定福利費自動計算・印刷機能
材工別単価で労務費の根拠を示したい材工別/複合単価切替機能、歩掛機能
誰が作っても同じ見積金額にしたい材料マスタ、単価管理機能
内訳を詳しく説明したい階層(レベル)機能、見積原価表、原価総括内訳表
工事ごとの収支を管理したい工事台帳、実行予算書、原価計算内訳表
進行中の工事の利益状況を知りたい未成工事一覧表、予実管理機能
赤字の原因を特定したい工事台帳、原価計算内訳表
見積から請求まで一元管理したいデータ一元管理機能(見積→受注→発注→請求)
転記作業をなくしたいデータ連動機能(クリック操作で帳票作成)
見積書をPDFで出力したいPDF出力機能
見積書をExcelで出力したいExcel(CSV)出力機能
図面や写真を見積と一緒に保管したいデータ保管機能(PDF・画像・Office文書対応)
外出先からデータにアクセスしたいVPN・リモート対応機能
若葉ちゃん
若葉ちゃん

こうして見ると、
システムを入れれば、ほとんどの課題が解決できるんですね。

仙人
仙人

そうじゃ。
ただし、システムは”道具”じゃ。
使いこなすには、運用の仕組みも大事なんじゃよ。

システム導入は、一度にすべてを変える必要はありません。緊急度に応じて、段階的に進めることが成功の鍵です。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

でも、いきなり全部やるのは大変そう……。

仙人
仙人

その通りじゃ。
だからこそ、”何から始めるか”の順番が大事なんじゃ。
焦らず、一歩ずつ進めていけばいい。

対象:チェック数が2個以下だった項目

・法定福利費の自動計算機能を導入
・材工別単価の表示設定
・基本的な材料マスタの整備
・見積書のPDF出力環境の構築

若葉ちゃん
若葉ちゃん

まずは”見積の透明性”を確保するところから、ですね。

仙人
仙人

そうじゃ。
お客様に見せる書類の質が変われば、
信頼も、受注率も変わってくる。

対象:チェック数が3個だった項目

・工事台帳・実行予算書の運用開始
・データ一元管理(見積→受注→請求)の構築
・過去データのデジタル化・整理
・社内での運用ルール策定

若葉ちゃん
若葉ちゃん

ここで、原価管理の仕組みを整えるんですね。

仙人
仙人

うむ。
“見える化”ができれば、
経営判断のスピードと精度が上がるんじゃ。

対象:チェック数が4個だった項目、さらなる改善を目指す企業

・予実管理の徹底(リアルタイム利益確認)
・VPN・リモート環境の整備
・各種帳票のカスタマイズ
・組織全体での運用定着・マニュアル化

若葉ちゃん
若葉ちゃん

ここまでくると、
かなり”仕組みで回る会社”になってますね。

仙人
仙人

そうじゃ。
この段階まで来れば、
属人化せず、組織として安定して成長できる。

 

まとめ:まずは「現状を知る」ことから

若葉ちゃん
若葉ちゃん

チェックリストをやってみて、
正直、できてないことが多くて焦りました……。

仙人
仙人

焦る必要はない。
大事なのは、”できてないことを知る”ことじゃ。
知らないまま進むのが、一番危ない。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

確かに……。
知れば、何から手をつければいいか分かりますもんね。

仙人
仙人

そうじゃ。
完璧を目指す必要はない。
一つずつ、できることから積み上げていけばいいんじゃよ。

これからの建設業では、「見積の透明性」「原価管理」「デジタル化」が避けて通れない課題となっています。
まずは今回のチェックリストで自社の現状を把握し、優先順位をつけて改善を進めていきましょう。
一歩ずつ進めることで、確実に「取り残されない会社」「選ばれ続ける会社」へと変わっていけます。

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