【利益圧迫の罠】なぜ資材高騰で苦しむのか?「積算と入札のタイムラグ」問題——建設業に蔓延る仕事をとったのに赤字になるメカニズム

「受注できたのに赤字になった」
建設業・工事業を営む会社から、こうした声は後を絶ちません。

技術力がある。真面目に仕事をしている。受注件数も増えている。それなのに、気づけば利益が出ていない
——そんな状況に陥っている場合、原因は業界の構造的な問題にあるかもしれません。

その問題とは「積算と入札のタイムラグ」です。

  • 発注者が工事の予算を組む(積算)のは、入札の数ヶ月〜1年以上前
  • 受注金額は、その積算時点の資材単価をもとに決まる
  • しかし実際に材料を調達するのは、受注後さらに数ヶ月が経過した施工時点
  • その間に資材価格が上昇していると、受注金額は変えられないまま、材料費だけが膨らむ
  • 結果として、「仕事をとったのに、材料を買ったら赤字になった」という現象が起きる
仙人
仙人

これを知らずに仕事を受け続けると、頑張れば頑張るほど苦しくなるという事態に陥ることがある

若葉ちゃん
若葉ちゃん

……それは怖いですね。どういう仕組みなんですか?

本記事では、このメカニズムをさらに詳しく解説し、自社の利益を守るために今すぐできることをご紹介します。

この記事でわかること
・「仕事をとったのに材料を買ったら赤字になった」という現象がなぜ起きるのか、そのメカニズム
・積算から入札・実工事までの「タイムラグ」という業界の構造的な問題
・資材価格の上昇予測を知っていても、タイムラグがある限り避けられないリスクの正体

 

「仕事をとったのに赤字になった」はなぜ起きるのか

公共工事を中心に受注している建設業者にとって、工事の流れは大きく次のように進みます。

①発注者が予算を組む(積算)

発注者(国・自治体など)が工事に必要な費用を積算し、予算を決定します。この時点では、積算時点の資材単価・労務費単価をもとに予算が組まれています。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

仙人さん、発注者が予算を組む時って、最新の資材価格を調べて積算してるんですよね?

仙人
仙人

そうじゃが、『最新』といっても、調査から公表までにタイムラグがある。予算が決まった瞬間から、すでに市場の実態と少しズレていることも珍しくないのじゃよ

② 入札・契約

予算が決定してから、実際に入札が行われ、受注業者が決まります。積算から入札まで、数ヶ月のタイムラグが発生することがほとんどです。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

入札の時点では、もう①から数ヶ月経ってるってことですよね。その間に資材価格が変わってたら……

仙人
仙人

受注業者はその変化を織り込んで価格を決めなければならん。しかし先のことは誰にも正確にはわからない。だからこそ、常に最新の市場動向をウォッチしておくことが重要なのじゃよ

③ 実際の施工・材料調達

受注後、実際に工事が始まります。材料の調達は、このタイミングで行われます。
ここが、タイムラグの罠が最も顕在化する場面です。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

仙人さん、①の積算の時点と③の材料調達の時点では、かなり時間が空きますよね

仙人
仙人

そうじゃ。そこに罠がある。発注者が予算を組んだ時点の資材単価と、実際に材料を調達する時点の資材単価が、変わってしまうのじゃよ

若葉ちゃん
若葉ちゃん

つまり……発注者が想定していた価格より、実際に買う価格が高くなってしまうことがある?

仙人
仙人

その通りじゃ。受注金額は積算時点の単価をもとに決まっている。しかし材料を買う時には価格が上がっている——この差額が、そのまま損失になるのじゃよ

受注金額は変えられない。しかし材料費は上がっている——
この「逃げ場のない構造」が、真面目に仕事をしている建設業者の利益を静かに削っていきます。

 

タイムラグはどのくらいあるのか——現場の実態

積算から実際の材料調達までのタイムラグは、工事の規模や種類によって異なりますが、一般的には次のような流れになります。

フェーズ期間の目安
発注者による設計・積算数ヶ月〜1年以上
入札公告から入札まで1〜2ヶ月程度
契約から着工まで1〜3ヶ月程度
施工期間工事規模による(数ヶ月〜数年)

つまり積算時点から材料調達まで、トータルで半年〜1年以上のタイムラグが発生することは珍しくありません。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

半年以上前の単価で予算が組まれているなら、資材価格が少し動いただけでも、かなりの影響が出そうですね

仙人
仙人

しかも近年は、資材価格の変動が以前より激しくなっておる。かつては『多少のズレは誤差の範囲』で吸収できたものが、今は誤差では済まない水準になってきておるのじゃよ

今後値上がりが予想される資材の直撃リスク

建設業界では、国土交通省や民間調査機関が定期的に資材価格の動向調査を発表しています。
最新の調査では、複数の主要資材について数ヶ月先に「やや上昇」または「上昇」と予測されているものがあることが報告されています。

参考:国土交通省のホームページ

仙人
仙人

定期的に発表される資材価格の動向調査を見たことはあるか?

若葉ちゃん
若葉ちゃん

名前は聞いたことあります。でも、毎回ちゃんと確認はしていないかも……

仙人
仙人

それが問題じゃ。タイムラグがある中で資材が値上がりすると、どうなるか考えてみよ

若葉ちゃん
若葉ちゃん

積算時点の単価で組まれた受注金額に対して、実際の材料費がさらに上がってしまう……利益がさらに圧迫されますね

仙人
仙人

そうじゃ。しかも公共工事の場合、受注金額を後から変えることは容易ではない。
つまり、タイムラグ+資材高騰という二重の圧力を、受注業者が一手に引き受けることになるのじゃよ

重要なのは「一度確認して終わり」ではなく、定期的にウォッチし続けることです。資材価格は毎月変動します。
3ヶ月前の情報が、今月の積算には全く合わない水準になっていることもあります。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

資材価格って、毎月変わるんですね。じゃあ積算のたびに最新の情報を確認しないといけないってことか

仙人
仙人

そうじゃ。しかし多くの会社では、材料マスタの単価を一度登録したまま、何ヶ月も更新せずに使い続けておる。それが、タイムラグの罠をさらに深くするのじゃよ

 

タイムラグによる赤字を防ぐための3つの対策

タイムラグという構造的な問題を完全になくすことはできません。
ですが、その影響を最小限に抑えるための対策は存在します。

対策①:資材価格動向を定期的にウォッチする習慣を作る

毎月発表される資材価格動向情報を、積算担当者が定期的に確認する仕組みを作ることが第一歩です。
「なんとなく値上がりしている気がする」という感覚ではなく、データに基づいて価格変動を把握することが、リスク管理の基本です。

特に、受注から施工までの期間が長い大型工事については、積算時点から施工時点までに予想される価格変動を、ある程度見込んだうえで積算することも重要な視点です。

対策②:材料マスタの単価をこまめに更新する

「以前登録した単価をそのまま使い続けている」という会社は少なくありません。
しかし、1年前の単価で積算した見積書が、現在の原価を正確に反映しているはずがありません。

材料マスタの単価は、最新の市場単価を常にマスタに反映しておくことで、積算のたびに「現在のリアルな原価」をもとにした見積書を作ることができます。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

材料マスタを更新しないまま使い続けると、実際の仕入れ価格より低い単価で見積もりを出してしまうことになりますね

仙人
仙人

そうじゃ。しかも担当者がそのことに気づかないまま、値引き交渉にも応じてしまうことがある。二重三重に利益が削られていくのじゃよ

対策③:受注前に「現在の原価」で採算を確認する

タイムラグによるリスクを意識したうえで、受注前に現在の市場単価をもとにした原価試算を行うことが重要です。
積算時点の単価だけでなく、施工予定時点での資材価格を見込んだシミュレーションを行うことで、「受注してみたら赤字だった」という事態を未然に防ぐことができます。

 

ハウロードシリーズで「現在のリアルな原価」を把握

タイムラグによる赤字リスクを管理するには、材料マスタの単価を迅速に更新し、常に最新の原価情報をもとに積算できる体制を整えることが不可欠です。

材料マスタの一括更新・CSV対応

ハウロードシリーズでは、仕入先からのCSVデータを材料マスタに取り込むことができます。
仕入先から最新の価格データを受け取り、そのままシステムにインポートするだけで、材料マスタの単価を一括更新することが可能です。

一品一品手入力で更新する手間がなく、迅速かつ正確に最新単価を反映できます。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

CSVで一括更新できるなら、更新作業がずっと楽になりますね

仙人
仙人

そうじゃ。更新の手間が減れば、更新の頻度を上げることができる。こまめに更新できるようになれば、常に現在のリアルな原価をもとに積算ができるのじゃよ

見積作成画面でリアルタイムに原価・粗利を確認

ハウロードシリーズでは、見積書を作成しながら画面上で原価や粗利金額・粗利率をリアルタイムに確認できます。
最新の単価が材料マスタに反映されていれば、積算と同時に「この受注は本当に利益が出るか」を確認しながら見積を進めることができます。

若葉ちゃん
若葉ちゃん

受注前に原価と粗利が確認できるなら、『受注したら赤字だった』という事態を事前に防げますね

仙人
仙人

そうじゃ。タイムラグというリスクを完全になくすことはできない。
しかし、最新の原価情報を常に把握できる体制を整えることで、そのリスクを最小限に抑えることはできるのじゃよ

「仕事をとったのに赤字になった」——この現象は、積算と入札・実工事の間に生じるタイムラグという、建設業界の構造的な問題が引き起こすものです。
受注すればするほど苦しくなる——そんな状況から抜け出すために、まず「現在のリアルな原価」を正確に把握できる体制を作ることから始めてみてみませんか?

「材料マスタの単価を常に最新の状態に保ちたい」
「積算のたびに現在の原価で採算確認をしたい」
そんな方は、まずはお気軽にご相談ください。

建設業に詳しいスタッフが、御社の状況に合わせて具体的なご提案をいたします。

 

よくあるご質問

A. 建設物価・積算資料のデータへの対応は別売となっています。詳しい対応方法については、ハウロードのサポートスタッフにお問い合わせください。御社の業務内容に合わせた最適な方法をご提案いたします。

A. 工事の規模・期間によっては、積算時点から施工予定時点までの価格変動を一定程度見込んだ積算を行うことが有効です。

また、受注条件によっては資材価格変動に対応した条項を契約に盛り込むことも検討できます。
具体的な対応方法については、電気工事業・建設業に詳しいハウロードのサポートスタッフにご相談ください。