「現場の人の単価」——あなたの会社では、どのように積算していますか?
電気通信設備工事・保守業務に携わる技術者の単価は、国土交通省によって職種ごとに明確に区分されています。
しかし実際の積算現場では、「だいたい同じ現場の人だから」とまとめて一律の単価を使っているケースが少なくありません。

見積書を作るとき、現場の技術者の単価はどうやって決めておる?

えっと……なんとなく、いつも使ってる単価をそのまま入れてます。
職種ごとに分けるとか、あまり考えたことなかったです

ふむ。その『なんとなく』が、利益をじわじわと削っておることがあるのじゃよ

じわじわ削られてるって言っても、実際どのくらい違うものなんですか?

それが、想像以上じゃ。職種によっては、1日あたり1万円以上の差がある

1万円!?それが何十日も積み重なったら……
ではここからは、「職種ごとに分けないと、実際どのくらい影響があるのか」を具体的に見てみましょう。
令和8年3月から適用される最新の電気通信関係技術者等単価を例に、5職種の使い分けと積算への影響を、具体的な数字とともに解説します。
参考:令和8年3月から適用する電気通信関係技術者等単価について~対前年度比4.5%の引き上げ~ – 国土交通省のホームページ
【この記事でわかること】
・5職種の単価は最大40,500円〜最小27,200円まで開きがある理由
・「技術者」と「技術員」を混同して積算すると起きる、赤字・失注の両方向リスク
・点検技術者等単価だけに「事業主負担額」が含まれる特殊な構成

令和8年3月1日から適用される電気通信関係技術者等単価(基準日額)は以下の通りです。
| 職種 | 基準日額 | 区分 |
|---|---|---|
| 電気通信技術者 | 40,500円 | 電気通信技術者等 |
| 電気通信技術員 | 27,200円 | 電気通信技術者等 |
| 点検技術者 | 40,300円 | 点検技術者等 |
| 点検技術員 | 31,100円 | 点検技術者等 |
| 運転監視技術員 | 31,100円 | 点検技術者等 |
- 最高単価:電気通信技術者 40,500円
- 最低単価:電気通信技術員 27,200円
- 差額:13,300円——実に約1.5倍の開き

13,300円の差って……10人の現場で20日間だったら、えーっと……266万円も変わるってことですよね?!

そうじゃ。『だいたい同じ現場の人』という感覚で積算していると、その差がそのまま利益の誤差になる

これは、もう『なんとなく』では済まないですね

知らずに一律単価で積算しておったとしたら、どちらに転んでおったと思う?

高い単価でまとめてたら……見積が高くなって失注するかもしれないし、低い単価でまとめてたら赤字になる……どっちも怖いですね

その通りじゃ。正確な積算とは、正確な職種の使い分けから始まるのじゃよ

やっかいなのは、このリスクがすぐには表面化しないことです。
高単価でまとめた場合、「なんとなく見積が通りにくい」という感覚はあっても、職種の使い分けが原因だとは気づきにくいものです。
低単価でまとめた場合も、「受注できているのに利益が出ない」という結果が出るまでに時間がかかります。
どちらのリスクも、じわじわと利益を削り続けるという点で共通しています。正確な積算は、正確な職種の使い分けから始まります。
国土交通省は、電気通信関係の技術労働者を職能レベルと業務内容によって明確に定義しています。
| 電気通信技術者 | 電気通信設備の現場設置に従事する技術労働者のうち、相当程度の専門的知識と経験を持ち、主体的にその業務を行うことのできる者。 → いわゆる「リーダー・主担当」。自ら判断し、業務を推進できるレベル。 |
| 電気通信技術員 | 電気通信設備の現場設置に従事する技術労働者のうち、ある程度の専門的知識と経験を持ち、電気通信技術者の指示によりその業務を行うことのできる者。 → いわゆる「補助・アシスタント」。上位者の指示のもとで動くレベル。 |
| 点検技術者 | 電気通信施設の点検(保守)業務に従事する技術労働者のうち、相当程度の専門的知識と経験を持ち、主体的にその業務を行うことのできる者。 |
| 点検技術員 | 電気通信施設の点検(保守)業務に従事する技術労働者のうち、ある程度の専門的知識と経験を持ち、点検技術者の指示によりその業務を行うことのできる者。 |
| 運転監視技術員 | 電気通信施設の運転監視業務に従事する技術労働者で、管理技術者の指揮・命令下でその業務を行うことのできる者。 |
・業務の種類:設置工事(電気通信技術者等)か、点検・保守・監視(点検技術者等)か
・職能レベル:主体的に動ける(技術者)か、指示のもとで動く(技術員・技術員)か
この2軸で5職種を正確に当てはめることが、適正積算の第一歩です。

なるほど!『何の仕事をするか』と『どのレベルで動くか』の2つで決まるんですね。言われてみれば当たり前のことだけど、積算のときにちゃんと使い分けてたかというと……

混同しがちなのは、現場を見慣れているからこそじゃ。しかし数字の世界では、混同はそのまま損益に直結する
職種を正しく使い分けず、一律単価で積算した場合、リスクは「高すぎ」と「低すぎ」の両方向に発生します。
例えば電気通信技術者(40,500円)の単価を、技術員業務にも一律適用した場合を考えます。
技術員(27,200円)の業務に40,500円を当てると、見積金額は実態より高くなります。
競合他社が正確に職種を分けて積算していれば、当然その会社の見積の方が安くなります。
「うちの見積はいつも高いと言われる」という悩みの一因が、実はここにあるかもしれません。
逆に、電気通信技術員(27,200円)の単価を技術者業務にも一律適用した場合。
受注はできるかもしれません。しかし実際の原価は40,500円水準の技術者が動いています。
見積単価と実原価の乖離がそのまま赤字になります。
「受注できているのに利益が出ない」という現象の原因の一つが、この積算ミスです。

仙人……『うちの見積はいつも高い』も『受注できてるのに利益が出ない』も、両方うちの会社で聞いたことある言葉です

ほほう。では心当たりがあるということじゃな

まさかその原因が、職種の使い分けにあったとは思ってもみなかったです

問題の根っこが見えれば、解決策も見えてくる。まずは正しく知ることじゃ
・適正な見積金額で競争力を保ちながら、利益を確保できる
・原価と見積の乖離がなくなり、工事ごとの採算が正確に把握できる
・受注後の原価管理で「なぜ赤字になったか」の原因追及が容易になる
積算の精度を高めるには、2つのことが必要です。
- 職種ごとの定義と単価を正確に知ること。
- その知識を実際の積算に正しく当てはめること。
知っているだけでは不十分で、使いこなせて初めて利益に直結します。
国土交通省が5職種を明確に区分し、毎年単価を更新しているのは、現場の実態を正確に積算に反映させるためです。
その仕組みを正しく活用することが、利益を守る積算の本質といえます。
令和8年3月から適用される電気通信関係技術者等単価は、全職種平均で対前年度比+4.5%の引き上げとなりました。
これは15年連続の引き上げであり、全職種単純平均値が34,040円と、公表を開始した平成9年度以降の最高値を更新しています。
| 区分 | 令和8年度平均単価 | 対前年度比 | 平成24年度比 |
|---|---|---|---|
| 全職種平均 | 34,040円 | 0.045 | 0.524 |
| 電気通信技術者等(2職種) | 33,850円 | 0.043 | 0.498 |
| 点検技術者等(3職種) | 34,170円 | 0.046 | 0.541 |
注目点としては、点検技術者等(+4.6%)が電気通信技術者等(+4.3%)をわずかに上回っていることです。
保守・点検業務の人件費上昇が設置工事業務をやや上回るペースで進んでいることは、保守契約・点検業務を多く抱える会社にとって、特に意識すべきトレンドです。
また直近10年の全職種平均伸び率を見ると、令和5年度以降、伸びが加速しています。
| H28 | H29 | H30 | H31 | R2 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0.026 | 0.007 | 0.03 | 0.037 | 0.024 | 0.007 | 0.032 | 0.05 | 0.054 | 0.058 |
令和5年度以降、毎年5%前後の引き上げが続いています。過去の単価をそのまま使い続けることは、年々積算の精度を下げることを意味します。
毎年3月の単価改定を確実に反映する仕組みを持つことが、利益管理の基本です。

15年連続で上がってるんですね。しかも最近は上がり方が加速してる……古い単価をそのまま使ってたら、毎年ズレが大きくなっていくってことですよね

その通りじゃ。単価は生き物じゃ。毎年更新せねば、積算の精度は年々落ちていく一方じゃよ
電気通信関係技術者等単価を扱うときに、特に注意が必要なのが点検技術者等単価の構成です。
- 基本給相当額
- 基準内手当(通常の作業条件・内容への手当)
- 臨時の給与(賞与等)
- 実物給与(食事の支給等)
- 基本給相当額
- 諸手当(役職・資格・通勤・住宅・家族・その他)
- 賞与相当額
- 事業主負担額(退職金積立・健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険・介護保険・児童手当)
電気通信技術者等単価では、法定福利費の事業主負担額は「現場管理費」に含まれます。
一方、点検技術者等単価では、退職金積立・各種保険の事業主負担額が単価の中に含まれています。
この違いを知らずに積算すると、公共工事設計労務単価や電気通信技術者等単価との比較・混用で、二重計上や計上漏れが発生するリスクがあります。

同じ『技術者単価』でも、中に含まれているものが全然違うんですね。知らずに混ぜて使ってたら、大変なことになってたかも……

単価の数字だけを見るのではなく、何が含まれていて何が含まれていないかを理解することが、本当の積算力じゃ
5職種の使い分けを「担当者の記憶と経験」だけに頼って管理していると、いくつかのリスクが生まれます。
ベテラン担当者が不在のとき単価の根拠を確認できない、毎年3月の改定を見落として古い単価のまま積算が続く、新しい担当者が職種の区分を把握しないまま見積書を作成してしまう——。

それ全部、『担当者任せ』にしてると起きることですよね。しかも気づかないうちに

そうじゃ。誰がやっても同じ結果になる仕組みを作ることが、会社として積算の精度を守る唯一の方法じゃよ

属人的な管理には、やっぱり限界がありますね
職種を正しく使い分けた積算を毎回確実に実行するには、単価をシステムで管理することが最も確実な方法です。
- 「職種ごとに単価を使い分けたいけれど、毎回手作業で確認するのは現実的でない」
- 「単価改定のたびに、どこを直せばいいかわからなくなる」
こうした積算現場の悩みに、ハウロードEシリーズは30年以上向き合い続けてきました。
電気工事業・設備工事業・建築工事業に特化した専用システムだからこそ、工事業ならではの積算ニーズを熟知しています。
ハウロードシリーズの材料マスタ・担当者マスタには、この積算ニーズに応える機能が備わっています。

特殊な取引先向け・職種ごとなど、材料マスタは複数登録することができます。
電気通信技術者・技術員・点検技術者・点検技術員・運転監視技術員、それぞれの単価を個別のマスタとして登録・管理することで、積算時の使い分けがワンクリックで完了します。
算出する労務単価を随時変更できます。
毎年3月の単価改定時に、システム上の単価を更新するだけで、全ての積算に最新単価が反映されます。
古い単価を使い続けるリスクを排除できます。
担当者マスタには、定時単価・通常残業など計6種類の人件費を登録できます。
職種別の単価をそれぞれの担当者に紐づけることで、積算だけでなく原価管理まで一貫して正確に行えます。

歩掛は職種ごとに4種類まで設定できます。
電気通信技術者と技術員では作業内容・効率が異なるため、職種ごとの歩掛を正確に反映した積算が可能になります。

職種ごとにマスタを分けて登録しておけば、積算のたびに単価を確認したり計算したりしなくていいんですね!

そうじゃ。正しい知識をシステムに落とし込んでしまえば、あとはシステムが正確に計算してくれる。人間がやるべきは、正しい職種を選ぶことだけになる

ミスが減って、しかも毎年の改定も更新するだけ……仙人さん、これ、うちの会社の積算を全部見直したくなってきました

それが、利益を守る第一歩じゃよ
電気通信関係技術者等の単価は、5職種で最大約1.5倍の差があります。
この差を正確に積算に反映しているかどうかが、受注競争力と工事利益の両方に直結します。
・一律単価での積算は、失注リスクと赤字リスクの両方を生む
・令和8年3月改定で全職種平均34,040円・15年連続引き上げ。単価は毎年更新が必須
・点検技術者等単価には事業主負担額が含まれ、他の単価と構成が異なる
職種別の単価管理や積算精度の向上について、ハウロードシリーズがどのようにサポートできるか、まずはお気軽にご相談ください。
工事業に詳しいスタッフが、御社の状況に合わせてご提案いたします。
A. ハウロードシリーズの算出労務単価変更機能を使えば、システム上の単価をその都度更新するだけです。
更新後は全ての積算に最新単価が自動的に反映されるため、手作業での修正は必要ありません。
A. 複数の材料マスタを登録できるため、業務の種類・職種ごとに別々のマスタを用意することができます。
積算時に適切なマスタを選ぶだけで、正確な単価が自動で適用されます。



