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建設工事を生業として営業を行う上で欠かせないもののひとつに建設業許可があります。
一度申請すれば…というわけではなく、有効期限があるため営業を継続して行う上では定期的な許可申請が必要となります。
今回は建設業許可申請について、そもそもどのようなものなのか、申請時の必要書類等について解説していきます。
仙人、上司から建設業許可申請の準備をしておいて…と言われたのですが、どうすればいいんでしょうか?
うむ、順番に解説していこう!
建設業許可とは
建設工事を生業として営業を行う上で欠かせないもののひとつに建設業許可があります。
建設業法第3条では、下記のように記載があります。
ア 建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業法第3条の 規定に基づき、建設業の許可を受けなければなりません。
引用:国土交通省のホームページ
「軽微な建設工事」とは何でしょうか?
大切なポイントじゃの。
軽微な建設工事とは、工事1件の請負代金の額が下記のものを指します。
- 建築一式工事以外の建設工事…1件の請負代金が500万円未満(消費税含む)
- 建築一式工事…1件の請負代金が1,500万円未満(消費税含む) 又は 延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅の工事*
*…主要構造部が木造で、延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するもの
なるほど。
でも仙人、そもそもうちは電気工事業なので「建設業」とは違う気がします。
おっと、それはどうだろうか。
建設業許可はどんな人が対象?
- 建設業を営もうとする方は、元請・下請を問わず許可が必要
- 建設業許可には様々な業種分類があり、営業を行う業種ごとに許可の取得が必要
- 建設業許可自体は受けていても、その業種の許可を得ていない場合は請け負うことが禁止されている
建設業の営業に際し許可を得る必要がある業種は下記の通りです。
- 土木工事業
- 建築工事業
- 大工工事業
- 左官工事業
- とび・土工工事業
- 石工事業
- 屋根工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- タイル・れんが・ブロツク工事業
- 鋼構造物工事業
- 鉄筋工事業
- 舗装工事業
- しゅんせつ工事業
- 板金工事業
- ガラス工事業
- 塗装工事業
- 防水工事業
- 内装仕上工事業
- 機械器具設置工事業
- 熱絶縁工事業
- 電気通信工事業
- 造園工事業
- さく井工事業
- 建具工事業
- 水道施設工事業
- 消防施設工事業
- 清掃施設工事業
なるほど…。提出が必要なことがわかりました。
では建設業許可はどこに提出をするのでしょう?
建設業許可の提出先
建設業許可の提出先は、営業所の所在地によって異なります。
営業所が、
- 2つ以上の都道府県の区域にある…国土交通大臣の許可
- 1つの都道府県の区域内にある…都道府県知事の許可
がそれぞれ必要となります。
所在地の数によって違うのですね。
では、一度提出すれば問題ないのでしょうか?
建設業許可の有効期間
建設業許可の有効期間は5年間となっています。
5年ごとに更新が必要となっており、更新の際は有効期間満了の30日前までに申請を行います。
間が空く分、記載内容や申請期限を忘れないようにしたいですね。
詳しい提出先や提出に必要な書類は、国土交通省の下記のページが参考になるわい。
建設業許可の要件
提出先は分かったのですが、何を出せばいいのでしょう?
うむ、その前に必要な条件を満たしているのかを確認する必要があるわい。
必要な条件…?
建設業許可の申請を行う際は、下記のふたつを満たしている必要があります。
- 4つの「許可要件」を満たしていること
- 「欠格要件」に該当しないこと
4つの「許可要件」を満たしていること
建設業法第7条(許可の基準)で規定されている「許可要件」を備えている必要があります。
必要な条件…一体どんなことでしょうか?
要件① 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力
工事業は一般的な業種と異なる部分も多々あります。
事業を営む上で欠かせない業務管理を適正に行うことが求められます。
ごく当たり前の内容にも聞こえますが…
うむ、詳しく解説していこう。
最低でも1人は建設業の経営業務について経験のある方が必要です。
- 法人…常勤の役員のうちの1人
- 個人…本人または支配人のうちの1人
経営業務についての経験は、「建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験」などの具体的な要件が挙げられています。
管理責任者が不在となった場合、許可の取消しとなってしまう。
そのため不在期間が生じないよう留意が必要じゃ。
健康保険、厚生年金保険、雇用保険において、それぞれ下記への届け出が必要です。
- 健康保険、厚生年金保険…適用事業所に該当する全ての営業所
- 雇用保険…適用事業の事業所に該当する全ての営業所
それぞれどのような保険でしょうか?
健康保険は病気やけがへ備えた保険です。
病気やけがの他、それらの理由による休業や、出産・死亡にも適用が行えます。
- 対象は雇用期間の定めのない正社員の他、要件を満たすパートタイマー
- 法人として社会保険に加入する場合、会社と被保険者で折半
- 従業員が5人未満の個人事業所など、一部適用除外あり
70歳未満の人が原則として加入する、公的年金制度にかかる保険です。
- 対象は70歳未満で、厚生年金保険の適用を受ける企業に勤務する会社員や公務員など
- 会社と被保険者で折半
- 従業員が5人未満の個人事業所など、一部適用除外あり
退職や失業した際に失業等給付を支給するなど、労働者の生活や雇用の安定を目的とした保険です。
他にも、教育訓練を行い就職の促進も行っています。
- 対象の労働者(一定の条件を満たさない短時間労働者や役員など、一部非対象の要件あり)
- 会社と被保険者、それぞれが定められた保険料率を負担
国土交通省のホームページには社会保険についてまとめたページもあるわい。
経営業務の管理を適正に…本来の意味が分かってきました。
他の許可要件はどのようなものでしょうか?
要件② 専任技術者の設置
営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関しては、一定の資格または経験を有した者(専任技術者)の設置が必要です。
先ほど同様、専任技術者が不在となった場合は許可の取消しの対象等になるので、注意が必要じゃ。
専任技術者にも細かな要件が あり、詳細は一般建設業と特定建設業によって異なります。
一般…?
建設業許可には一般建設業と特定建設業の二つの区分があります。
- 元請け工事の内、1件の工事代金について、4,500万円以上*となる下請契約を締結する場合
*…建築工事業の場合は7,000万円
上記以外は一般建設業の申請を行います。
先ほど記載した通り、建設業を営む上で許可を得る必要がある業種は複数あります。
そのためひとつの会社でも、例えば電気工事業では一般許可、管工事業では特定建設業…というように両方の区分を取得している場合もあります。
ただし、同じ業種…例えば「電気工事業で一般許可、特定建設業どちらも」というケースはないわい。
既に建設業許可を得ている場合、下記のサイトからも検索が行えます。
要件③ 誠実性
請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかである場合は、建設業を営むことができません。
要件④ 財産的基礎等
建設業の許可が必要となる規模の工事を請け負うことができるだけの、財産的基礎等を有していることも要件となっています。
一般建設業と特定建設業により、詳細な条件は異なります。
- 自己資本が500万円以上
- 500万円以上の資金調達能力を有する
- 許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績がある
上記のいずれかに該当すること
- 欠損の額が資本金の20%を超えていない
- 流動比率が75%以上
- 資本金が2,000万円以上、かつ、自己資本の額が4,000万円以上
上記のすべてに該当すること
そして最後に、欠格要件に該当しないことも必要となるわい。
「欠格要件」に該当しないこと
欠格要件には、「破産者で復権を得ないもの」など14項の内容が記載されています。
許可申請者はもちろん、役員や使用人も欠格要件に1つでも当てはまると許可が出ないのじゃ。
一気に理解しようとすると難しいですが、欠格要件のひとつひとつ読み解いていけばどれも基本的な内容ですね。
素晴らしい!
いよいよ大詰めになってきました。
最後に、どのような書類を提出するのでしょうか?
うむ、多くの内容があるわい。
具体的には…
建設業許可で必要な提出書類
先ほど解説した通り、一度提出した後も更新が必要な建設業許可。
提出する際に必要な書類も、新規/更新や業種を追加する際…等状況に併せ細かく変わってきます。
多くの場合は都道府県のホームページにて建設業許可の注意事項等をまとめたページが公開されており、そちらを確認の上作成を行っていきます。
営業所のある都道府県の行政書士に依頼することも有効です。
一部の都道府県ですが、各都道府県の建設業許可に関するページを下記にまとめているので是非ご参考にしてみてくださいね。
ここでは参考までに、国土交通省のホームページに掲載されている必要な書類をご紹介させていただきます。
建設許可申請に必要な書類【新規/法人の場合】
【第1号】 | 建設業許可申請書 |
【別紙1】 | 役員等の一覧表 |
【別紙2】 | 営業所一覧表 ※新規許可等、更新でフォーマットが異なります。 |
【別紙3】 | 収入印紙、証紙、登録免許税領収証書又は許可手数料領収証書はり付け欄 |
【別紙4】 | 専任技術者一覧表 |
【第2号】 | 工事経歴書 |
【第3号】 | 直前3年の各事業年度における工事施工金額 |
【第4号】 | 使用人数 |
【第6号】 | 誓約書 |
– | ・成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書 ・成年被後見人又は被保佐人とみなされる者に該当せず、また、破産者で復権を得ないものに該当しない旨の市町村の長の証明書 ※「相談役」、「顧問」については、提出不要 |
【第7号】 | 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書 |
【別紙】 | 常勤役員等の略歴書 |
【第7号の2】 | 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書 |
【別紙1】 | 常勤役員等の略歴書 |
【別紙2】 | 常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書 |
【第7号の3】 | 健康保険等の加入状況 |
【第8号】 | 専任技術者証明書(新規・変更) |
– | 技術検定合格証明書等の資格証明書 |
【第9号】 | 実務経験証明書(必要に応じて卒業証明書を添付) |
【第10号】 | 指導監督的実務経験証明書 |
【第11号】 | 建設業法施行令3条に規定する使用人の一覧表 |
【第12号】 | 許可申請者(法人の役員等・本人・法定代理人・法定代理人の役員等)の住所、生年月日等に関する調書 ※「相談役」、「顧問」については、提出不要 |
【第13号】 | 建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書 |
– | 定款 |
【第14号】 | 株主(出資者)調書 |
【第15号】 | 貸借対照表 |
【第16号】 | 損益計算書・完成工事原価報告書 |
【第17号】 | 株主資本等変動計算書 |
【第17号の2】 | 注記表 |
【第17号の3】 | 附属明細表 ※提出対象は、特例有限会社を除く株式会社のうち、以下のいずれかに該当する方 ・資本金の額が1億円超 ・最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上 ※金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第24条に規定する有価証券報告書の提出会社は、 有価証券報告書の写しの提出にて附属明細表の提出に代えることが可能 |
– | 登記事項証明書 |
【第20号】 | 営業の沿革 |
【第20号の2】 | 所属建設業者団体 |
– | 納税証明書(納付すべき額及び納付済額) |
【第20号の3】 | 主要取引金融機関名 |
非常に多くの種類の書類を出さなければならないのですね。
うむ。じゃが建設業許可の申請は定期的に提出が必要じゃからの。
行政書士さんに依頼するにしても、書類集めで苦労しそうです…。
工事業向けの業務システムなら、書類集めの手間を少し軽減できるわい。
工事業の業務管理は、ハウロードシリーズにお任せ
多くの書類提出が必要な建設業許可の申請。
一つの書類作成を見てみても、工事名や請負代金、工期等…細かな情報を決められたルール通りに書く必要があったりと、情報収集段階から苦労する部分もあります。
建設業許可の申請の有効期限は5年。
じゃが、建設業許可を取得した許可業者は毎年「事業年度終了報告書」の提出が必要となってくるのじゃ。
建設業許可の申請がゴールではないのですね…。
その通り。むしろスタートと言っても過言ではない。
じゃから、出来るだけ効率化を図りたいところじゃの。
工事業向けに特化したハウロードシリーズなら、書類作成に必要な請負代金、工期等の情報をシステムが集計。
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- 一元管理で、必要な情報を即座に把握
原材料高騰下でも利益を出していく上では、適正価格の見積算出や原価管理は非常に重要です。
建設業許可や事業年度終了報告書は事業を営む上での要。
複雑な上に正確さが求められる作業だからこそ、専用ソフトを上手に活用して効率よく作成を行いたいものですね。