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一生懸命見積書の作成を行っているのに、どうしてか赤字工事が発生してしまう…とお悩みで本記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
工事業の見積作成では、正しい「積算」が非常に重要となってきます。
工事業でよく耳にする「積算(せきさん)」という言葉。
聞いたことはあるが、詳しい意味を知らないという方も意外と多くいらっしゃいます。
積算は発注側にとっても請負側にとっても、工事を進める上で非常に重要なものです。
しかし、その計算方法はとても複雑で、工事の内容によっても異なります。
工事業の見積作成には欠かせない積算の概要や、その必要性、積算を簡単に行う方法などを今回は解説していきます。
正しく積算を行うことで、赤字工事は減らすことができます。
新人OL 若葉ちゃん
「そもそも見積書って何を書けばいいの?」という方は、是非先に下記記事をお読みください。
【工事業】基本的な見積書の書き方・書くべき項目【保存版】工事業における積算
毎回同じ材料・同じ製法ならともかく、工事業の場合は同じような工事でも、一件ごとに使う材料や取付場所などの条件が異なります。
歩掛や都度変わる原価への対応など、専門性の高い工事業の見積作成。
「公共建築工事標準単価積算基(国土交通省)」や「公共建築工事見積標準書式(国土交通省)」が業種によって分かれていることを見れば分かる通り、同じ「工事業」でも、建築工事、電気工事、管工事、その他工事業の業種によっても性質が異なります。
- 建築工事
- 電気設備工事
- 機械設備工事
- 昇降機設備工事
ですが、赤字工事をなくし利益を確保するために重要なことは、どの業種においても共通しています。
それがいかに正確な「積算」を行うかです。
なるほど…では積算って、具体的にどんなことを指すんですか?
積算とは、工事全体にかかる費用を算出すること
積算とは、工事を行う前に歩掛に基づいて各工事の費用を予測し、それらを積み上げて工事全体にかかる費用を算出することです。
新人OL 若葉ちゃん
仙人
このドーナツを売るとき、一個いくらで売るのが妥当でしょうか。
それを導き出すために積算を行います。
ドーナツを売るにあたり、必要な費用は?
仙人
新人OL 若葉ちゃん
ですが工事業の場合、ドーナツとは異なり一件一件ごとに施工内容が変わります。
仙人
具体的に書きますと、設計図や仕様書、建物の施工環境など…様々な要件から工事を施工するにあたり必要な材料とその数量などを洗い出します。
そしてそれらの費用を一つひとつ積み上げ、工事を施工するにあたり必要な全体の費用を算出するのが「積算」です。
えっ、工事業の材料ってたくさんありますよ?
なんだか面倒ですね…。行ってる工事は同じような内容だし、だいたいじゃだめですか?
積算はどうして必要なのか?
店頭で売られている商品とは違い工事は構造物や設計、施工場所などによって作られるものが違う単品生産ですし、必要な費用も工事ごとに異なります。
- 施工を行う箇所の環境
- 施工内容そのもの
- 必要な作業者の数
この他にも、非常に多くの要因から費用は変化していきます。
問題なく工事が完了した場合のことはもちろん、不測の事態に備えた余剰分や設計図では見えにくいロス率など…。
工事を発注する側は、工事全体でどれくらいの費用がかかるのかを知る必要があります。
請負会社側としても原価が一定ではない状況の中で、赤字を出さないようにするためには、正確な積算を行う必要があるのです。
ドーナツのように毎回同じ材料・同じ製法ならともかく、工事業の場合は同じような工事でも一件ごとに使う材料や、取付場所などの条件が違うじゃろう?
どんぶり勘定では、損をしてしまうのじゃ。
積算とは工事業特有の業務のひとつ。
そしてなおかつ、工事業を営む上では欠かせない仕事なのです。
う~ん、大切なのは分かったのですが…やっぱり難しそうです。
私には向いていない業務かも…。
最近では工事業向けの積算ソフトも販売されています。
これからイチから積算を行っていきたいという方は、積算ソフトをご利用いただくのも手段のひとつです。
積算を行う上で欠かせない「歩掛」
仙人、一つひとつを算出…と言っても施工の際は細かな作業が色々あるんですよ。
労務費はどう計算すれば良いのでしょうか?
うむ、そこで「歩掛」の登場じゃ。
一件一件ごと、更には材料一つひとつの積算を行う際に役立つのが「歩掛」です。
記事の冒頭でも、「 積算とは、工事を行う前に歩掛に基づいて各工事の費用を予測し、それらを積み上げて工事全体にかかる費用を算出すること」と記載しました。
歩掛では1人の作業員が8時間で行える作業の量を示しています。
歩掛に労務単価を掛けることによって、労務費の算出が行えるようになります。
なるほど!
でも、歩掛そのものはどうやって計算すればいいんでしょう?
それなら、「公共建築工事標準単価積算基準」が便利じゃ。
同じ材料を使用する場合でも、取り付け方などにより手間は変わってきてしまいます。
一つひとつの材料で歩掛を1から算出することは中々難しい作業ですが、標準的な歩掛をまとめた「公共建築工事標準単価積算基準」というものが国土交通省から発行されています。
あくまで標準的な歩掛ですので、実際には作業を行う従業員のスキル等に応じた変更は必要です。
ですが、適切な積算を行う上では「公共建築工事標準単価積算基準」は大いに役立つ存在です。
「もっと歩掛について知りたい」 という方はこちらの記事をどうぞ 。
歩掛とは?使うメリットは?工事業の見積作成を初心者にもわかりやすく解説!ちょっと待ってください仙人!
「同じ材料を使用する場合でも、取り付け方などにより手間は変わってくる」と言うことは…。
若葉ちゃんが気が付いた通りじゃ!
積算は、工事の規模が大きい程複雑になる
積算に使用する歩掛の係数は工事の種類や内容によって異なります。
例えば電気設備工事の場合、ケーブルひとつをとっても長さや太さから種類の違いに至るまで、非常に細かく設定されています。
そのため工事の規模が大きくなればなるほど、計算は膨大かつ複雑なものとなり、小さなズレが大きな金額の誤差に発展する危険性も高まるのです。
仙人
それぞれで労力が違うため、歩掛も施工方法に合わせて変える必要があります。
新人OL 若葉ちゃん
積算を正しく行うのは見積作成の第一歩。
計算は複雑じゃが、しっかり行うことで赤字工事を減らせるんじゃ!
気が遠くなる作業ですが、仕方ないですね。
それでは仙人、歩掛をマスターすれば、適切な積算を行えると言うことでしょうか?
残念ながら、他にも積算を行う上で必要なことはいくつかあるんじゃよ。
工事価格の構成
先ほどご紹介した歩掛は、工事費用のうち労務費を求めたに過ぎません。
まだ積算の序の口であり、赤字工事を減らし正しい積算を行っていく上では、他にも算出しなければならない費用がたくさんあります。
まずは工事費の構成を確認してみましょう。
直接工事費
青色で書かれてる「直接工事費」というのが、先ほどご紹介した労務費や材料費を指します。
直接工事費は下記の3つから成り立ちます。
- 材料費
- 労務費
- 直接経費
先ほど紹介した労務費はもちろん、正しい材料費の算出も必要じゃよ。
直接経費とは何でしょうか?
特許使用料や水道光熱費、機械経費などを指すわい。
工事価格の構成の中でも、直接工事費は大きな比重となっています。
それぞれの詳しい求め方は、下記の記事でも紹介していますので是非ご参考になさってください。
直接工事費とは?構成や計算方法を初心者にも分かりやすく解説【赤字工事をなくす積算】
間接工事費
ときに若葉ちゃん。
工事を施工する上ではここまでに挙げた費用以外にも、発生する費用があるのはわかるかね?
う~ん、材料や労務費以外…。
例えば、作業で使用する車で加入している保険料はどうじゃろう。
工事業を続けていく上では必要な経費じゃの。
本当だ!工事そのものではないですが、必要なお金ですね。
他にも
- 機材を運搬する費用
- 事前に施工環境を調べるための費用
- 人材募集を行う費用
など…。
必要な経費はたくさんあるわい。
工事をする上で間接的に必要な費用、それを間接工事費といいます。
なるほど、細かな費用がいくつもあるんですね。
共通費の各費用の算出方法は、国土交通省の「公共建築工事積算基準」にて種目別や金額別に独自の算定式が決められています。
その他の費用
直接工事費、間接工事費は併せて「純工事費」と呼ばれます。
純工事費の他にも工事を行う上では、現場管理費や工事の一時中断に伴う費用も欠かせません。
また、事業として営む上では会社の一般管理業務に関わる費用も発生します。
事務所の家賃や光熱費はもちろん、広告宣伝費などといった費用が当てはまります。
当然ながらこれらの費用も、計算していかねばならないのじゃ。
赤字を出さないためとはいえ、工事の度にこれだけたくさんの計算をしなければならないんですね。
積算は、会社運営でも根幹となる業務
積算は、設計図や仕様書から一つひとつの材料を洗い出し費用を算出していきます。
積算の精度によって会社の利益が上下しますので根気やプレッシャーがかかりますが、その分やりがいも感じられる仕事です。
積算が適切に行われていないと赤字の工事になってしまったり、反対に不当に利益を取りすぎてしまうなど、会社の信頼にも大きく影響してしまいます。
そうそう以前、「前と同じ工事なのに価格が大きく違うんだけどどうして?」とお客様に言われたことがありました…。
うむ、工事業あるあるじゃの。
適切な積算が行えておればきちんとした理由を説明できるし、お客様への信頼にも繋がるわい。反対にどんぶり勘定だと…。
お客様の信頼もかけてしまいますし、何よりどちらかが損をしてしまいますよね。
豊富な知識や経験があれば積算への大きな手助けとなりますが、最近では工事業に向けた積算ソフトも販売されています。
積算ソフトを使えば、誰にでも簡単で素早く、正確な見積作成ができるんじゃよ。
ベテラン積算士さんの場合でも、積算ソフトを使用することで作業時間を大幅に短縮することが可能となります。
また、計算ミスなどによる赤字の削減にも繋がります。
積算を簡単に行うには工事業専用積算見積ソフトがおすすめ
今回ご紹介した積算は、工事業専用の見積ソフトをご使用いただければ簡単に行えます。
非常に複雑であると同時に正確さが求められる工事業の積算作成作業。
弊社工事業用見積ソフト「ハウロードシリーズ」をご活用頂く企業様が増えてきています。
弊社のハウロードシリーズの見積・積算システムは、パソコン1台でご使用いただく場合165,000円(税込)からご用意。
売り切り型で「年度使用料」などの継続利用にかかる費用がないのもポイントじゃ。
- 電気工事業向けEシリーズ
- 設備工事業向けSシリーズ
- 建築工事業向けAシリーズ
相場が高い印象の工事業専用ソフトですが、リーズナブルな価格で豊富な機能を取り揃えています。
電気工事業向けEシリーズ、設備工事業向けSシリーズは職種別の歩掛を4種類まで設定可能です。
- 歩掛や雑材料などの細かな係数は、「数量」を入力すればシステムが自動で算出
- 工事の規模にかかわらず短時間で適切な見積書を作成
- 作業効率を大幅にアップ
見積書は、発注側と請負側のどちらにとっても非常に重要なものです。
複雑な上に正確さが求められる作業だからこそ、専用ソフトを上手に活用して効率よく作成を行いたいものですね。
新人OL 若葉ちゃん
仙人