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業務を行う上では切っても切れない関係の見積書作成。
当コラムでも「基本的な見積書の書き方・書くべき項目」など見積に関するコラムをいくつか掲載しています。
1件1件の工事に対し見積書を作成する必要のある工事業では、見積もり再提出となる機会も少なくありません。
内容変更や価格交渉、材料⽋品など様々な原因の再提出が考えられますが、いずれの場合でも速やかにかつ適正価格での再提出が重要となります。
仙人、再提出を依頼されたんですが…。その度に作成時間がかかっていて他の業務が進みません。
うむ、工事業ではよくあるお悩みじゃの。原因解明と対策を順番に考えていこう。
今回は実際に工事業に携わる方へ行ったアンケート結果をもとに、見積再提出がどうして発生するのかやどのように対処していくのかをご案内していきます。
実に90%の方が再提出を行ったことがある
工事業に携わる方のアンケートを行ったところ、「見積書の再提出を行ったことがある」という方の割合は実に90%となりました。
改めて見てみると、割合の高さに驚かされますね。
頻度の差はあれど、その度に作業時間や気苦労が予想されるわい。
再提出を行う際の不満を聞いたところ、下記のような声が聞かれました。
- 1案件に対し見積書が複数できるので、管理が面倒
- 手間や時間がかかってしまう
- 値下げ交渉への対応にストレスや不満を感じる
再提出を行った経験がない方へは、「依頼されたことがない理由として思い当たるもの」も合わせて聞いてみました。
理由として挙げられたものもご紹介させていただきます。
- 公共工事を中心に施工している
- 顧客とのコミュニケーションを密にしている
施工内容によっては、細かくコミュニケーションをしていても…というケースがありそうですね。
再提出はどうして?まずは理由を確認
今回のアンケートでは、実際に「再提出を求められた理由」についてもお伺いしてみました。
その結果、最も多かったのは「施工内容が変わった【相手先側要因】」で20名の方が回答。
続いて19名の方が「価格を下げてほしいなど、価格交渉」と回答なさりました。
施工内容が変わった【相手先側要因】 | 20 |
価格を下げてほしい等、価格交渉 | 19 |
廃盤や欠品等、使用する材料の変動 | 7 |
宛名の入力間違いなど、一時的なミス(金額に関するものを除く)【こちら側要因】 | 3 |
金額の計算間違い【こちら側要因】 | 3 |
施工内容が変わった【こちら側要因】 | 3 |
再提出を依頼されたことがない | 3 |
宛名の入力間違いなど、一時的なミス(金額に関するものを除く)【相手先側要因】 | 2 |
金額の計算間違い【相手先側要因】 | 1 |
見積有効期限が切れてしまった | 1 |
そのほかの理由 | 1 |
有効回答数30名 【複数回答あり】
結果からもお分かりいただける通り、再提出といってもその理由は様々です。
今後対策していかなければならないケアレスミスもあれば、致し方ないものもあります。
再提出が多い…とお悩みの場合は、まずは自社がどのような理由で再提出を求められることが多いのかを確認してみてください。
理由が判明しましたら、それに応じた対策を実践していきます。
仙人、いくつか理由があるんですが…。
そんな時でも焦らず、それぞれの理由に合わせた対策が必要じゃ。
複数の理由が重なっている場合は、ひとつひとつ課題を解消していくことが鍵となります。
それではここからは、理由に応じた対策方法を具体的な方法とともにご紹介させていただきます。
理由に応じた対策方法
施行内容が変わった
追加工事の発生など、施工内容の変更による見積再提出は工事業では珍しくありません。
冒頭のアンケート結果でご回答いただいたように、見積を行う前に取引先と綿密なコミュニケーションや打合せを行うことで、回避が行えるケースもあるかと思います。
ですがアンケートでも、業種によっては「施工内容の変更は仕方のないこと」と割り切っている方もおられました。
事前の回避が難しい場合は、発生した後の流れを整備してみるのも手段のひとつです。速やかに再提出が行える環境を整えておくことで社内効率が向上いたします。
現在Excelで見積書を作成している…という場合、作成方法によっては「数行書き換えを行うだけでも一苦労」という方もいらっしゃるかもしれません。
見積再提出の頻度や見積作成にかけている時間によっては、作成している手段や管理方法そのものからの見直しも必要かもしれません。
見積システムをご導入なさっている場合は、階層機能や見積複写機能などの機能を是非活用してみてください。
- 再提出を依頼された後のフローや手段を整備する
- システムに搭載された機能を有効活用する
- 場合によっては作成手段や管理方法からの見直しが必要
価格交渉に関する要因
今回のアンケートでも2番目に多く回答のあった、価格交渉に関する要因。
見積書の再提出を求められたからといって闇雲に価格を下げて提出してしまうと、せっかく受注したのにも関わらず赤字工事となってしまう可能性もあります。
実際にアンケート結果でも、「時々ある」「まれにある」と回答した方は合計で44.4%。
半数近くの方が再提出後の見積書で赤字工事を経験なさっていました。
「今後の付き合いを考えれば値引きはしないといけないし、でもどこまで値下げようか」と頭を悩ませてしまう方も多いのでは。
再提出を求められた場合は一式で価格を下げるのではなく、根拠のある内容で価格提案をすることで相手からの信頼感も向上しますし、赤字工事の削減にも繋がります。
根拠のある内容…?具体的にはどんなものでしょうか?
うむ、例えば…
見積明細にて「一式」と記載していた場合、内容によってはどうしてそのような価格になっているのか取引先へ分かりにくくなってしまいます。
「階層」のある「内訳明細書」が添付された見積書の提出を行い、価格交渉を行われたときも「この価格になっている原因は、施工方法を○○にしているからなので、▪️▪️に変更することで価格を安くすることができます。」など根拠のある代替え案を行います。
「工事一式」で見積を書いてしまっている場合は、そこの改善から始めてみるのも良いわい。
「一式」で価格を下げてしまうと、どの材料やどの作業内容に値下げを行っているのかバランスが見えなくなってしまいます。
つまり、本当にその価格で利益が出せるのか不透明な状態です。
確保すべき利益を把握した上で価格調整を行い、場合によっては取引先との交渉も必要です。
大規模工事は粗利率を〇%以上確保する、この取引先は掛率〇%までなら値下げに対応できる…といった社内ルールがあれば、ひとつの指針になるかもしれませんね。
どれだけ価格を下げて良いのか分からない…という場合は、原価管理の実施も有効です。
使用する材料や施工方法などが1件1件の工事で異なる工事業。
そのためそれぞれの工事に対して正確な積算が求められます。
ネット金額(値引きを行える限界価格)が曖昧のまま割引価格の見積書を提出してしまうと、赤字工事を生み出す要因の一つとなってしまいます。
それだけではなく、次回以降の工事の際にも「前回と同じような工事なのに価格が大きく違う、値段を下げてくれ」という顧客の不満や悪循環にも繋がりかねません。
- 正しい積算を行い、具体的な根拠をもって金額提案を行えるようにする
- 原価管理を行い、ネット金額(値引きを行える限界価格)を逐一確認する
必要なのは分かるんですが…見積を作るだけで精一杯なんです。都度粗利を確認しながら見積作成なんて…。
そんな時は、工事業向けの見積ソフトがおすすめじゃ。
例えばハウロードシリーズの場合、利益の確認を行いながら見積作成が行えます。
工事施行によってどれだけの利益が確保できるのか、リアルタイムに確認が行えます。
また、施工完了後は工事1件ごとの材料費・労務費・外注費・経費を細かく解析いたします。
※受注・原価管理システムをご使用の場合。
利益に直接関するデータの比較はもちろん、これまでの見積データから「御社の得意・不得意とする工事業務」を研究し、将来的な経営戦略強化へ繋げることも可能です。
受注書データを元に集計するから、再入力の必要なく原価管理が行えるぞよ。
使用する材料の変動に関する要因
新型コロナウイルスの影響やウッドショックなどにより想定していた材料が入荷されなかったり、価格が高騰してしまうという事態も多発しています。
以前は数日で入荷を行えていた材料でも、欠品となってしまう事態も発生していますよね…。
個々の工事により使用する材料が異なるので難しい部分はありますが、こまめな情報収集や社内の在庫管理によりリスクの軽減は測ることができます。
情報収集は取引先のメーカー様からの情報のほかにも、国土交通省のホームページにて定期的に「主要建設資材需給・価格動向」が発表されています。
上記の調査では各資材の状況は全国平均値の他、都道府県ごとでも詳細な数値が記載されていますので、是非確認してみてください。
- 取引先や外部からのこまめな情報収集
- 社内の在庫管理をより綿密に行う
- 定期的に適正在庫を見直す
一時的なミスに関する要因
例えケアレスミスでも、相手先名の間違いや添付内容のミスは信頼関係にも繋がり今後の受注にも影響を及ぼしてしまうことも。
同じミスが続く場合は提出時のフローを見直し、ミスが起きている原因を調査しましょう。
原因判明後は客先に提出する前にダブルチェックを行う、自動化できる部分を自動化する…などフロー改善が必要です。
- ダブルチェックの実施やチェック項目シートの作成
- 材料や相手先名はマスタ登録を行い、手打ちを極力控える
マスタとは?と思った方は、下記の記事も参考になさってください。
ダブルチェックやチェック項目シートを作成しても単純なミスが続く場合は、ミスが起きた時の環境はどんなものであったかを確認するのも一つの手です。
チェック体制に無理があったり、あるいは曜日や時間帯で作業効率が悪くなる…といった環境による理由が見えてくるかもしれません。
昼休憩後の時間にミスが集中している…という時は、「その時間帯には別の作業をする」というのも立派な対策じゃ。
金額の計算間違いに関する要因
計算間違いも今後の受注に影響を及ぼすミスの一つです。
「錯誤による契約」は取り消しが認められるケースはあるものの、信頼関係への影響は否めません。
- 単純な桁間違い
- 見積書を作成しているエクセルシートの関数間違い
- 取引先との齟齬
など
いずれの場合でも気が付いた段階で速やかに先方に訂正の連絡を行いましょう。
この場合でも、ミスが続くようであれば原因の調査を行い、改善策を講じることが大切です。
- ダブルチェックの実施やチェック項目シートの作成
- Excelで作成している場合は、提出前にエラーチェックを実施
- 手計算を行っていたりパソコンが苦手な場合は、システム導入など今よりも実行しやすい見積作成方法を検討する
事前の対策で、快適な見積書作成を
再提出自体、複数回に及ぶこともある工事業の見積書作成。
ひとつひとつの見積書も作成が非常に複雑であると同時に正確さが求められます。
「見積作成で業務が手一杯」という方は、工事業向けに特化した見積作成システムの導入も検討なさってみてください。
弊社のハウロードシリーズの見積・積算システムは、パソコン1台でご使用いただく場合165,000円(税込)からご用意。
売り切り型で「年度使用料」などの継続利用にかかる費用がないのもポイントじゃ。
- 電気工事業向けEシリーズ
- 設備工事業向けSシリーズ
- 建築工事業向けAシリーズ
相場が高い印象の工事業専用ソフトですが、リーズナブルな価格で豊富な機能を取り揃えています。
電気工事業向けEシリーズ、設備工事業向けSシリーズは職種別の歩掛を4種類まで設定可能です。
- 歩掛や雑材料などの細かな係数は、「数量」を入力すればシステムが自動で算出
- 工事の規模にかかわらず短時間で適切な見積書を作成
- 作業効率を大幅にアップ
見積書は、発注側と請負側のどちらにとっても非常に重要なものです。
新人OL 若葉ちゃん
仙人