近年当サイトのコンテンツを無断で複製しているサイトを見受けますが、本サイトの掲載内容の一部およびすべてについて、事前の許諾なく無断で複製、転載等を行う行為は、著作権侵害となり法的に罰せられることがあります。
工事業では、一般的な「売上高」と同じ概念を「完成工事高」と呼びます。
完成工事高は、工事が終わってお客様に渡した時点での売上を意味します。

完成工事高は建設業だけの売上の数え方じゃ。
他の商売とは少し違う工事業独特の考え方があるんじゃよ。

実務では「工事が終わった=売上になる」と思われがちですが、完成工事高には明確な定義と計上ルールがあり、認識のタイミングを誤ると税務上の問題や信用失墜につながります。

仙人、「完成工事高を出して」と言われたんですけど…どの金額のことですか?

良い質問じゃ。売上にあたる数字じゃが…。
普通の売上と違って、「いつ認識するか」が難しいんじゃ。

なるほど、 単純に工事が終わった日…という訳ではなさそうですね。

そうそう。そこを誤ると、利益のズレや税務指摘にもつながる。
今日はその見極め方をしっかり学ぶといいぞ。
建設業会計を正しく理解し、自社の見積や原価管理に生かすためにも基礎を押さえておきましょう。

赤字の原因は、たいてい見積書に眠っとるんじゃ。
この7ステップで、見積の迷いが消えるはずじゃ!
完成工事高とは?―建設業特有の「売上の考え方」
完成工事高とは、建設業での「本業の売上」を表す会計項目です。
ほかの業種では「売上高」と呼びますが、工事業は工事ごとに契約期間が長く、いつ売上を認識するかが少し特殊なため、別の項目で管理しています。


ってことは、“完成工事高”が会社の売上ってことですよね?

うむ。ここが会社の稼ぎの数字じゃ。
ただのう、建設業は工事が終わるまでに時間がかかる。
工事が終わるまで計上できんから、どの時点で数字にするかが肝になるんじゃ。
工事業では、売上(=完成工事高)をいつ計上するかを決めるために、2つのルールがあります。
- 工事完成基準(完成引渡し基準)
- 工事進行基準
工事完成基準(完成引渡し基準)

工事がすべて完了し、発注者に引き渡した時点で売上を計上する方法です。
もっともシンプルで、中小規模の工事ではこの方法を採用している企業が多いです。
| メリット | わかりやすく、計上のタイミングを迷わない。 |
| デメリット | 工期が長い場合、実際には作業が進んでいても「売上ゼロ」の期間が続く。 |

工事が終わってから“まとめて売上”にするんですね!

そうじゃ。単純でええが、長期の工事だと数字が動かんからのう。
利益が出てないように見える時期が続いてしまうんじゃ。
工事完成基準(完成引渡し基準)の大きな特徴は、判断が明確でシンプルなこと。
「工事が終わった=売上を計上できる」という分かりやすさがあり、複雑な計算や進捗率の算定が不要なため、会計処理の負担も比較的少なく済みます。
ただし、半年〜1年かかる工事では、実際には工事が着実に進んでいても、引き渡しが終わるまでは売上ゼロとして扱われます。

そのため決算時点で「今年は売上が少なく見える」「実際の稼働に対して利益が出ていないように見える」といった見かけ上の差が生じることがあります。

引渡書や検査記録など…。
工事完了の証拠が整っていれば確実に処理できるという大きな利点があるわい。
進捗率の計算が難しい現場や、データ管理の仕組みがまだ整っていない会社にとっては、リスクの少ない堅実な選択です。
工事進行基準

工事の進み具合に応じて、売上を少しずつ認識していく方法です。
たとえば、全体の50%が終わっていれば、その分の売上・原価を半分だけ計上します。
| メリット | 実際の進捗にあわせた利益を見える化できる。 |
| デメリット | 進捗率の算定が正確でないと、誤差やトラブルの原因になる。 |

工事が終わる前に売上を立てられるんですね!

その通り!
ただし、どれくらい進んでるかを数字でちゃんと示せる会社でないと難しい。
工事進行基準を採用するためには、「どのくらい工事が進んでいるか」を客観的に示せる体制が欠かせません。
単に「半分くらい終わった」といった感覚ではなく、原価の実績や工程表に基づいた裏付けが必要です。
例えば、各工事で使った材料費・外注費・労務費などを正確に記録し、「予定原価に対して今どの程度の支出が発生しているのか」を把握できれば、その進捗をもとに適切な売上計上が行えます。
逆に、原価データが曖昧なままだと、実際より多く(または少なく)進捗を見積もってしまうリスクが生まれます。

工事進行基準は、「正確な原価管理と工程管理ができてこそ成り立つ考え方」。
現場の記録や仕入・外注データを日々きちんと積み上げておくことが、工事進行基準を安全に運用するための前提条件と言えます。
どちらを使う?目安をご紹介
工事完成基準(完成引渡し基準)、工事進行基準のどちらを採用するかは、工事の規模・期間・進捗管理の正確さで決まります。
- 小規模・短期工事:工事完成基準(完了後に売上)
- 大規模・長期工事:工事進行基準(進捗に応じて売上)

信用できる進捗データがあるかどうかが分かれ道じゃな。

現場の記録をちゃんと取ってるかが大事なんですね!

赤字の原因は、たいてい見積書に眠っとるんじゃ。
この7ステップで、見積の迷いが消えるはずじゃ!
完成工事高の計上ミスが招くリスク
完成工事高の計上を誤ると、見た目の数字だけでなく、会社の信頼そのものに影響します。

特に工事業では「いつ売上を立てたか」が、税務・経審・金融機関の判断に直結するわい。

進捗データや記録を正しく残すことで、数字の信頼に繋がります。
ですがもし計上を誤れば、思わぬリスクを招くことも。

主なリスクを整理していこう。
税務上のリスク
まだ完成していない工事を売上に含めたり、逆に完工しても売上を上げないままでいると、税務申告の誤りになります。

追徴課税や罰則の対象となるおそれがある。
工事進行基準を使う場合でも、正しい収益認識のために「収益・原価・進捗度」を客観的に見積もれる体制が欠かせません。
信用リスク
完成工事高は、経営事項審査(経審)や融資審査の評価基準にも使われます。
基準に沿わない計上をすると、「決算の信頼性が低い」と判断される可能性があります。
たった一つの計上ミスが、取引先や金融機関からの信用低下につながることもあるのです。
経営判断の誤り
完成工事基準では、工事が終わるまで売上がゼロのため、決算上は赤字に見える期間が生まれます。


一方で、進行基準では進捗を甘く見積もると、利益を「先取り」してしまう危険がある。

えっ、先取り……?

そうじゃ。帳簿の数字だけが先に走ってしまうんじゃ。結果的に、実態と帳簿がずれてしまう。
数字のズレは、経営判断を鈍らせます。
「利益が出ていると思ったのに、実際は赤字だった」というのは決して珍しい話ではありません。
正確な計上で“信頼される数字”を
こうしたリスクを防ぐには、契約書類・工事台帳・進捗報告書を突き合わせ、会計基準に沿った収益認識を行う体制が欠かせません。

ただ、実際の現場では、見積担当・経理・現場監督が別々にデータを管理していることも多く、数字や進捗の更新が追いつかないケースが少なくありません。

そうなんですよ、どの情報が最新なのか分からなくて確認作業に時間がかかってしまったり…。
一つひとつの資料が正しくても、担当や部門が違えば全体像が見えにくくなります。
「数字が合わない」「誰のデータが正しいのか分からない」といった状況が起きるのは、仕組みより“連携の欠如”が原因であることも多々。
どれだけ注意していても人の手で集計や転記を繰り返す限り、ミスも避けられません。
そこで重要になってくるのが、契約・原価・進捗を一元的に管理する仕組みです。

赤字の原因は、たいてい見積書に眠っとるんじゃ。
この7ステップで、見積の迷いが消えるはずじゃ!
システムで「完成工事高」を自動集計する
完成工事高の仕組みを理解していても、実際の業務では複数の現場ごとに原価や進捗を追い、その都度正しいタイミングで売上へ反映するのは簡単ではありません。

現場の動きと経理の処理はどうしてもズレが生じやすいのじゃ。
そのため「集計に時間がかかる」「数字の整合性が取れない」といった悩みを抱える企業様も少なくありません。

ハウロードシリーズは、こうした工事業特有の会計処理をシステムで支え、工事ごとの契約内容や原価、進捗データを自動で集計・反映します。
手作業では難しい“タイミングのズレ”を防ぎ、常に最新の完成工事高を正確に把握できる仕組みです。
見積・原価・進捗を一元管理!経営判断に役立つレポートも自動作成
ハウロードシリーズでは、見積から原価・進捗までを一つのシステムで管理できます。

入力したデータは自動で連動。
現場・経理・経営者が同じ数字をリアルタイムで共有できるのじゃ!
見積書の作成段階から、工事ごとの原価や予定粗利を自動算出できます。
工事が進むにつれて実際の支出や進捗を入力すると、システムが工事進行基準または完成基準に基づき、当期の完成工事高と完成工事原価を自動計算。
計上タイミングのズレや担当者による判断のブレを防ぎ、常に正確な収益データを保ちます。
さらに、未成工事支出金や工事未収入金などの仕訳も自動生成されるため、会計ソフトとの連携もスムーズです。

弊社のハウロードシリーズの見積・積算システムは、売り切り型で「年度使用料」などの継続利用にかかる費用がないのがポイント。
- 電気工事業向けEシリーズ
- 設備工事業向けSシリーズ
- 建築工事業向けAシリーズ
相場が高い印象の工事業専用ソフトですが、リーズナブルな価格で豊富な機能を取り揃えています。
さらに、工事別の利益率や未成工事残高をグラフ化したレポートも自動生成。
利益を生む現場や改善が必要な工程を把握でき、現場の見える化と数字に基づく経営判断を両立できます。
蓄積された完成工事高と原価データは、工事別・部門別の粗利率や原価率、未成工事残高の推移としてグラフや一覧で確認できます。


「どの工種が利益を出しているか」「どの現場にコストがかかっているか」が一目で分かりますね。
こうしたデータを活用いただくことで、次の見積や受注計画を立てる際により正確な判断が可能になります。
経審(経営事項審査)に必要な完成工事高の情報もワンクリックで抽出できるので、面倒な資料づくりの手間も減らせます。
収益認識の正確さは、会社の信頼と経営の安定を支える土台です。
契約や進捗を正しく把握し、適切な基準で完成工事高を計上することが何より大切。

ハウロードシリーズなら、その複雑な会計処理を自動化し、数字を“見える化”できるのじゃ。

ハウロードシリーズは工事業に特化した見積システム、受注・原価管理システム。
サブスクリプション形式と買い切り型、二つの製品から選べるわい。
初期費用・継続期間の縛りもないぞよ!


