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積算の方法という記事で、積算を行う重要性について解説しました。
それではいざ積算を行うにあたり、どのように始めればよいのでしょうか。
積算を行うにあたって図面以外にも、契約書など事前に準備すべきものがあります。
今回は積算を行う前の心構えや、必要な資料についてご説明します。
見積作成に必須!積算前に押さえるべき4つのポイント
積算は単なる計算作業ではなく、工事の適正価格を決める重要な作業です。

これから紹介する心構えが不足すると、見積の正確性が低下し、最悪の場合契約後のトラブルにつながる可能性も出てくるわい。

工事が一品受注生産であるように積算も都度、人による判断が必要です。
積算を行う前に次のような心構えをしましょう。
- 公平に
- 合理的に
- スムーズかつ正確に
- わかりやすく
公平に
発注側・請負側共に、的確な積算を行い、公平な判断に基づき積算を行わなければなりません。
客観的な基準に基づいた積算を行い、発注者・施工者双方が納得できる見積を作成しましょう。
価格の透明性を確保し、偏りのない見積を行います。
- 市場価格や公的な積算基準を参考にする
- 不自然な安値や高値にならないかチェックする

公的な積算基準は、例えば国土交通省の積算基準が挙げられる。

合理的に
施工業者の施工能力などは実績調査に基づいて判断し、それに応じた単価や歩掛を用いて合理的な積算をしましょう。

施工計画や現場の状況を踏まえ、実現可能な積算を行うことはもちろん、根拠のない安値見積を避け、双方にとって適正価格で提示することが重要です。

確かにせっかく受注できても、安値すぎて利益が出なければ困ってしまいますよね…。

その通り。
適正な価格を見積もり、必要なコストを明確に提示することが重要じゃ!
- 労務費・材料費・経費などを実際の市場価格に基づいて算出する
- 施工工程を考慮し、適切な工期や人員配置を積算に反映する
- 適正利益を確保する
スムーズかつ正確に
スムーズかつ正確な積算を行いましょう。
積算の段階でミスや遅れが発生すると、計算ミスによる利益圧迫や工事の進行に影響し、納期遅れの原因となるなどの影響が考えられます。

迅速な積算も、正確な積算も、どちらも同じくらい大切じゃ!
スピード・正確性、両方を兼ね備えることで、取引先からの信頼も高まります。

例えば、このような方法で対策ができるわい。
- 過去の工事データを活用し、積算の精度を高める
- 見積ソフトなどのシステムを活用し、手計算のミスを削減する
- 修正・変更に迅速に対応できるフローを構築する
わかりやすく
工事の範囲や内容、名称など、積算に用いる表現は全ての関係者にとってわかりやすいものにします。
記載項目を整理することで、説明の手間を減らすことができるなどのメリットも。


例えば「弱電工事 一式 30万円」ではなく…下記のポイントが誰から見ても分かるように記載するんじゃ。
- どんな内容の工事を行い
- どんな材料を使用し
- 何の費用がいくらなのか

明細が分かっていれば、再見積提出の際や後々の業務で、こちら側も助かりますよね!

工事の施工内容にお互いの思い違いがないか確認できるし、取付を行う材料の型番なども確認できるぞよ。

この前Aさんが作ってくれた見積、再提出で取り付ける機材が変更になったんですけど…。
「取付工事 一式」になっていて…提出価格の修正大変だったんです。

そういうことがないように、細かな明細で表記することは重要なのじゃ。
その際、「階層機能」が便利になるのじゃが…これはおいおい説明していこうかの。
積算精度を上げる!事前に準備すべき資料リスト
積算を正確に行うためには、図面だけでなく、さまざまな資料を事前にそろえておくことが大切です。
例えば工事費用の基準となる資料や、契約に関する書類、施工条件を示す資料などは、積算の精度を大きく左右します。

図面だけをもとに積算を進めると、重要な要素を見落とす恐れがあるのじゃ。
スムーズで正確な積算を行うために、図面以外にも以下の資料を事前に準備しておきましょう。

積算の基準となる資料 – 国交省の基準や市販資料
一般的に公共工事では「国土交通省土木工事積算基準」を基本に、一部補足をしながら積算を行います。

「国土交通省土木工事積算基準」を分かりやすくまとめた、
・月刊 建設物価
・積算資料
などの市販書籍も大変参考になるぞよ。
- 価格の妥当性を発注者に示すことができる
- 根拠のある見積書を作成できるため、交渉時にも有利になる

基準となる資料があれば、社内としても品質の担保に繋げられそうですね。


契約に関する資料-契約関連資料の重要性
工事契約では、金額・工期・工事範囲を明確にし、双方の合意を正しく記録することが求められます。
適切な契約資料を整備することで、予期せぬトラブルを未然に防ぐことができます。
契約関連資料に抜けや誤りがあると、後々の追加費用や工期遅延の原因となり、信頼関係にも影響を及ぼします。
そのため、契約書、契約約款、図面、仕様書(共通仕様書、特記仕様書)などの契約に関する資料も予め用意を行いましょう。
契約書(工事請負契約書) | 契約の基本となる重要書類。発注者と受注者の権利義務が記載されています。 |
契約約款 | 契約書に付随する細則やルールが定められている書類。 |
図面 | 設計内容を明確に示す資料。 |
仕様書(共通仕様書・特記仕様書) | どのような材料や工法で工事を行うかを定める資料。 |

施工条件に関する資料-積算時に考慮すべきポイント
気象、環境、地形、水位、輸送、労務、材料など施工条件にまつわる資料。

土木工事など、屋外で行う工事の場合は気象や地形も、積算する上では重要になってくるのじゃ。
施工条件は、現場環境によって工事費や工期が大きく変動する要因です。
特に、屋外工事や特殊な立地での施工では、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。
- 気象条件(天候・気温・降水量など)
- 地形・地盤の影響
- 水位・地下水の影響
- 輸送・搬入条件
- 労務・作業環境
例えば降水量が多い地域では、作業中断リスクが増加し、工期に影響することもあります。
寒冷地では凍結や積雪による施工方法の変更が必要となることも。

確かにそれらを見落とすと、実際の施工時に追加で費用が発生したり、工期遅延につながるリスクが出てきそうですね。

その通り!
山間部や軟弱地盤では、場合によっては掘削・地盤改良の追加費用を検討する必要があります。
他にも遠隔地では資材輸送費が高騰しやすい…など、施工条件によって費用が大きく変動する条件は、事前に資料を活用し、適正な価格設定を行うことが重要です。


施工計画書-安全・確実に進めるための基本資料
細かい工法などは積算の作業段階で決めたり、積算後に修正されたりすることもあります。
そのため柔軟に対応できるものが良いでしょう。

施工契約書とは、どんなものですか?

契約条件に沿って、工事を確実・安全に進めるための施工計画書じゃ!
工事手順や工法、必要となる機械や材料、工期を踏まえた上で、最適な工事計画を立てます。
任意仮設等数量計画書-数量のズレを考慮する
施工計画書は、工事の安全性とスムーズな進行を確保するために必要な資料です。
例えば、型枠面積、支保工数量など、任意仮設物に関する諸数量表が挙げられます。

任意仮設等数量計画表はどんなものでしょうか?

例えば配線一か所でも、図面に書いてある数量と実際に取り付ける数量とではずれがあるじゃろう?

たゆませる部分とか、切りムダのことですね!

そういった「数量のずれ」を考慮し、精度の高い積算を行うための資料じゃ。
施工計画書を活用し見積作成を行うことで、適切な資材・人員計画を行い、無駄なコストを抑えることができます。
また、作業の効率化や、計画の明確化によりリスク管理が徹底され、事故防止に繋げることも可能です。
事前にしっかりと準備をしておけば積算の作業も安心してできますね。
積算を簡単に行うには工事業専用の見積・積算ソフトがおすすめ

今回ご紹介した見積書に記載を行うべき項目は、法定福利費を含め、見積ソフトをご使用いただければ簡単に入力が行えます。
「工事の見積作成って、なんだか難しそう…」そんな方にもおすすめなのが、工事業用の見積・積算システムです。

弊社のハウロードシリーズの見積・積算システムは、売り切り型で「年度使用料」などの継続利用にかかる費用がないのがポイント。
- 電気工事業向けEシリーズ
- 設備工事業向けSシリーズ
- 建築工事業向けAシリーズ
相場が高い印象の工事業専用ソフトですが、リーズナブルな価格で豊富な機能を取り揃えています。
電気工事業向けEシリーズ、設備工事業向けSシリーズは職種別の歩掛を4種類まで設定可能です。
- 歩掛や雑材料などの細かな係数は、「数量」を入力すればシステムが自動で算出
- 工事の規模にかかわらず短時間で適切な見積書を作成
- 作業効率を大幅にアップ
見積書は、発注側と請負側のどちらにとっても非常に重要なものです。

材料を選んで数量を入力するだけなら、今の方法より時短になりますね!早速社長に教えないと!

ハウロードシリーズなら、見積の作成と一緒に原価や販売の管理も行えるんじゃ!
見積作成で業務効率も利益も上昇じゃ!

次回はいよいよ積算の実践編。
難しい内容も出てきますが、分かりやすく解説していきます。
基本的な見積書の書き方・書くべき項目 |
積算の方法 |
積算を行う前に |
工事価格の構成と積算 |
直接工事費とは? |
工事業の「見積」と「積算」の違い |
工事業の見積作成で困ったら、国土交通省のデータを活用しよう! |
【年間130万円の差!】工事業向け見積ソフトのコストパフォーマンスは? |
積算に関するおすすめ本3選 |
歩掛とは? |
見積チェックリストの作成方法 |
法定福利費とは?工事業では見積書に内訳明示を |
