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純工事費は、適切なコスト管理や収益性の向上に直結する重要な費用のひとつ。
工事に携わっていると、自然と耳にする機会も多いのではないでしょうか。
ですが、「工事費とはどう違うの?」「具体的にはどこまでが純工事費に含まれるの?」など、正確な意味を理解し、実務に活かしている方は意外と少ないかもしれません。
工事原価に関する費用は、正しく把握することでたくさんのメリットが。
- 見積もり精度が向上
- 無駄なコストの削減に繋がる
- 結果的に、工事全体を円滑に進めることができる
反対に理解が不十分な場合、見積の誤算や契約トラブル、利益率の低下といったリスクを招く可能性があります。
今回は、工事業者が知っておくべき純工事費の基本や、それを正しく理解することで得られる具体的なメリットについて、初心者にもわかりやすく解説します。

仙人、理解していないと、どんなリスクがあるのでしょうか?

うむ、そのあたりも含め、じっくり解説していこう。
純工事費を正しく理解するメリット
純工事費を正確に把握することで得られるメリットは、安定した経営を行う上で計り知れません。

意味を解説する前に、メリットを紹介しよう。
正確な見積もりの基盤となる
純工事費を正しく理解することで、見積の際に過不足のない適正価格の提示が可能になります。
- お客様からの信頼を得る
- 契約成立後のトラブルを未然に防ぐ

なるほど。
反対に計算が不十分だと、いろんなリスクが発生しそうですね…。

その通り!
例えば実際の工事費用が予想を上回ってしまえば、利益を圧迫する可能性もある。

工事業の場合、ただでさえ材料の高騰などのリスクがありますよね。
予見できるリスクは出来るだけ減らしたいですね。
収益性の向上に繋がる
正確に把握することで、無駄なコストの削減に繋がります。
工事現場の費用の中で、純工事費は多くの割合を占めます。
工事費全体に占める純工事費の割合が大きいため、改善の余地が大きく、わずかな改善でも大きな収益改善効果が期待できます。
効率的な案件管理を実現
純工事費を細部まで把握しておくと、工事案件の進捗管理がスムーズになります。
- 予定外の追加費用や納期遅延を防ぎやすくなる
- 計画通りに工事を進めることができる
- 結果的に、現場作業員やお客様の満足度向上や工事全体の品質向上に繋がる

分かってくると、だんだんやる気が湧いてきました。
では、早速純工事費の定義を教えてください。
工事費の構成
純工事費とは、工事そのものを実施するために直接的に必要となる費用を指します。
この費用には、例えば下記のような費用が含まれます。
- 現場で実際に使用する材料費
- 工事に従事する作業員への労務費
- 施工時に発生するその他の直接費用など

工事を行う上で必要な費用のすべて…ということでしょうか?

惜しい。
間接費などの工事を支えるための間接的な費用は含まないのじゃ。

間接費?
うーん…仙人、違いが分かりません…。

まずは、工事費の構成を確認してみよう。

工事費用は、大きく分けて3つの要素から構成されます。
- 直接工事費
- 間接工事費
- 一般管理費
直接工事費

直接工事費とは、実際に工事を進めるために直接必要な費用を指します。
直接工事費は、以下の3つの要素が含まれます。
- 材料費…工事に必要な建材や部品などの費用。コンクリート、鉄骨、木材など。
- 労務費…現場作業員や職人に支払われる賃金
- 直接費…機械の使用料や現場で発生する特殊なコスト

直接工事費については、より深く下記の記事で解説しておるわい。

間接工事費
間接工事費とは、工事を円滑に進めるために必要な費用です。
主に現場全体の運営や管理にかかるコストが含まれます。

一見すると分かりにくいように思いますが…。
・工事にかかる「そのものの費用」の直接工事費
・「支えるための費用」の間接工事費
と、文字通りのことを指しているのですね。
間接工事費は2つの要素から成り立っています。
- 共通仮設費
- 現場管理費

工事現場で共通して使用される設備や環境整備にかかる費用を指します。
例えば、仮設事務所の設置や足場の設置費用などが当てはまります。

工事をスムーズに進めるために必要な現場運営の管理費用です。
現場監督の人件費や、施工管理に必要な消耗品・通信費などが含まれます。

一般管理費
一般管理費とは、工事現場の運営とは別に、会社全体の運営にかかる費用を指します。
例えば、事務所の家賃や水道光熱費、経理・営業部門の人件費などが含まれます。


工事費といっても、色々な要素から成り立っているのですね。

その通り!
もう一度、工事費の構成図を見てみよう。


あっ、改めて見てみると、直接工事費と共通仮設費の二つを併せて「純工事費」と書かれていますね。

素晴らしい!
では、ここから本題の純工事費の解説に入っていこう。
純工事費とは?

「工事費の構成」の章、冒頭に書いたことをおさらいしてみよう。
純工事費とは、工事そのものを実施するために直接的に必要となる費用を指します。
この費用には、例えば下記のような費用が含まれます。
- 現場で実際に使用する材料費
- 工事に従事する作業員への労務費
- 施工時に発生するその他の直接費用など

仙人、分かってきましたよ!
いずれも「工事を実施するために最低限必要な費用」ですね。

素晴らしい!
純工事費の概念は工事費全体の中でも少し独特な部分があり、間接工事費の一部である「共通仮設費」まで含まれているのが混乱の原因になりやすいポイントかもしれません。
「工事費」とついているため、すべての費用をまとめたものを想像するかもしれませんが、純工事費は工事に直接関わるコストのみを抜き出したものです。

現場を管理するための費用や、会社全体の運営に関わる費用は含まれないので注意じゃ!
純工事費は、工事そのものを成立させるために絶対に必要なコストを指しています。
例えば、工事には施工を進めるための職人や材料が必要ですが、それだけでは工事を進めることはできません。
作業員が仕事をするための足場や仮設電源といった設備も不可欠です。
この「最低限の工事費用」をまとめたものが純工事費なのです。

だんだん分かってきたものの…。
仙人、ひとつ疑問があります。
直接工事費 | 実際に施工を行うために必要な費用 →「工事の核となる費用」で、当然純工事費に含まれる。 |
間接工事費 | 工事をスムーズに進めるための費用 →通常、ここに含まれるものは純工事費に入らない。 |

なのにどうして「共通仮設費」だけは例外なのでしょう?

ふむ、鋭いのう。
どうして共通仮設費が含まれるのか?


答えは、共通仮設費の内訳にあるわい。
共通仮設費の構成 | ・準備費 ・仮設建物費 ・工事施設費 ・環境安全費 ・動力用水光熱費 ・屋外整理清掃費 ・機械器具費 ・情報システム費 →仮設事務所・足場・仮設電源などが含まれる。 |

つまり、作業員が仕事をするためには必要不可欠な設備なのじゃ!
共通仮設費は「現場を作るために必要な最低限の環境整備の費用」となるため、直接工事費とセットで純工事費に含まれるのです。
純工事費に含まれる? | 具体例 | |
直接工事費 | 〇含まれる | 材料費、職人の賃金、重機のレンタル費用 |
共通仮設費(間接工事費の一部) | 〇含まれる | 仮設事務所、足場、仮設電源 |
現場管理費(間接工事費の一部) | ×含まれない | 現場監督の人件費、通信費 |
一般管理費 | ×含まれない | 会社全体の運営費(事務所の家賃、経理の給与など) |

やっと理解できました!もう一つ質問です。
どちらも既に計算している費用なのに、どうしてわざわざ「純工事費」が必要になってくるのでしょう?

うむ、それは純工事費が「コスト管理の基礎」だからじゃ。
なぜ純工事費が重要なのか?
建築工事、土木工事、設備工事、解体工事など、すべての工事において、純工事費は必要不可欠な費用です。
工事を行うためには、材料費・労務費・重機レンタル費などが発生し、これらがなければ工事を進めることができません。
さらに、作業員が安全に働くための足場や仮設電源の設置も工事を成立させるために必須となります。

いわば、純工事費は「工事のスタート地点かつ、工事の基礎」となる費用。
そのため工事費の中でも純工事費は大きな割合を占めます。
純工事費を適切に算出し、しっかり管理することで、工事全体のコストが明確になり、無駄な支出を防ぐことができます。
- 追加費用が発生する可能性が高まる
- 利益率が大きく低下する原因にも繋がる

純工事費を適切に知ることで、信頼関係にも繋がってくるのですね。
まとめ
純工事費は、工事における「最低限必要な費用」を正確に把握するための重要な指標です。
正しく理解することで、次のようなメリットが得られます。
- 適正な見積もりができるため、利益を確保しやすくなる
- 収益を圧迫する不要な出費を防ぎ、無駄なコストを削減できる
- 追加費用の発生を最小限に抑え、計画通りの進行が可能
工事費の適正な管理は、発注者・施工者の双方にとって大きなメリットをもたらします。

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